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最後にもう一度だけ聴いてほしい:桜井ゆい、13年間の集大成と「人生のけじめ」

dot yell web 編集部

アイドル「桜井ゆい」から、ソロアーティスト「水湊いづき」へ。そしていま、再び一人の表現者「桜井ゆい」として。13年という月日を全力で駆け抜けてきた彼女が、自らの意思で人生の大きな節目を迎えようとしています。

2026年1月24日、秋葉原ZEST。引退ライブを目前に控えた彼女の想いを伺いました。


出口のない3年間、突きつけられた残酷な問い

――2022年から始まった活動休止期間。感染症で歌声が奪われ、出口の見えない時間をどのように過ごされていましたか?

桜井ゆい(以下、桜井): 「終わってしまうかも」という感情を整理できないまま、気づけば3年の年月が経っていました。最初の頃は、自分の分身であるはずの楽曲たちも聴けないくらい……夢や希望を感じるたびに心が荒んでしまうような、本当に「虚無」という言葉がぴったりの日々でした。

――そんな「虚無」の中で、ご友人からのある一言が深く刺さったそうですね。

桜井: 旧友の結婚式に出席したとき、それぞれの人生を輝かしく語る友人たちの中で、私は正直に、今は活動を続けていないことを話しました。すると旧友から「じゃあ、ゆいの人生って、何が残ってるの?」と問われたんです。答えを見つけることができず、「何も残せなかったのかな」と深く落ち込みました。人生と向き合うことが、怖くてたまらなかった。そんな私を繋ぎ止めてくれたのは、心の奥底にいてくれるファンの存在でした。「待ってくれている人がいる」それだけが心の支えになってくれていたので、心の闇に飲まれずに済んだと思います。


止まった時計の針を動かした「確信」

――その後、再びステージに向かう勇気をくれたきっかけは何だったのでしょうか。

桜井: アイドル時代の大切な友人が、卒業ライブにゲストとして呼んでくれたんです。「一緒なら歌えるように私が支えるから」と。約2年ぶりにステージに立ったとき、そこには私を忘れないで見に来てくれた方々がいました。

――「空白の2年」を越えて、ファンがそこにいた。

桜井: ライブが出来なくなって気づけば2年が過ぎていたのに、忘れないでいてくれたファンにとても感激しました。たったひとりでも私を待っていてくれる人がいるのならば、キチンとけじめをつけて「ありがとう」と「さようなら」を直接伝える機会を作らなければいけない。それが私の責任だと思えた瞬間、止まっていた私の時計の針が、ようやく動き出したんです。


ファンへ届ける、最後の想いとピュアストロベリー

――今回のライブでは、とうとうファンが待ち望んだ桜井さんの歌が聴けるんですね。

桜井: 約13年の芸能活動に幕を閉じる形になるので、本当はこれまで出会ってくれた方全員に私を見つけてくれてありがとう、支えてくれてありがとう。という感謝を伝えたいところですがそれは難しいので、もし少しでも私の歌が、私の存在が、まだ心に残っている方には是非会場に足を運んでいただき直接感謝を伝えさせてもらいたいです。そして、この1月24日のライブで3年ぶりにソロアーティスト「水湊いづき」としてのパフォーマンスをさせていただけることになりました。前と変わらない、いや、それ以上のパフォーマンスをお見せしたいと思っていますので楽しみにしていてください!!

――今回のライブは、相方のぴぃちゃん(中崎彩香さん)とのユニット「ピュアストロベリー」としての集大成でもありますね。

桜井: ぴぃちゃんと活動したのは10年前のたった1年だけで、ずっと未練があったんです。引退を迎えるタイミングでまた一緒に活動できて本当に嬉しい。思うように声が出せないいま、歌の面でも気持ちの面でも、本当に彼女に支えてもらっています。これから先も、私の相方はぴぃちゃんだけです♡

――そして、今回のライブの目玉でもある「オリジナル新曲」についても聞かせてください。

桜井: ピュアストロベリーのオリジナル楽曲制作は、私の長年の夢でした。今回はクラウドファンディングという形で、皆さんに力を貸していただきました。「一緒に叶える一体感」が本当に心強かったですし、何より「ゆいちゃんの(アーティストとしての)最後の夢を叶えてあげたいんだ」と言ってもらえた時は、本当に嬉しくて幸せでした。皆さんの思いが詰まったこの最初で最後の最高傑作を、二人で大切に歌わせていただきます。


「がむしゃらな自分」であり続けるための決断

――ファンの方の支えがあれば、活動を続ける選択肢もあったはずです。なぜ、あえて「終了」を選んだのでしょうか。

桜井: 芸能活動は、好きでいてくれる方がいる限り、ずっと甘えられてしまう。でも、私の好きな私は、周りが見えなくなるくらい夢をがむしゃらに追いかけている私でした。――私がアニソン歌手になりたいと思ったきっかけをくれた人から応援したいと言ってもらえるような私――。そんな姿を見せられなくなった今の私には、活動を続けていく資格がない。すごく寂しいけれど、だからこそ、ここで一度ちゃんと「けじめ」をつけようと決意しました。


1月24日。会場で、私の「人生」を受け取ってください

――最後、このインタビューを読んでいるファンの方々、そしてこれまで歌を聴いてくれたすべての人へメッセージをお願いします。

桜井: アイドルを卒業したタイミング、名前を変えてソロデビューしたタイミング、活動を休止したタイミング、いろんなターニングポイントを経た中で変わらずに好きでいてもらえること自体が奇跡だと思っていて。数年あれば人の気持ちは移り変わるものなのにそれでも尚待っててくれた方がいる、本当に奇跡です。私の人生において何にも変えられない宝物なんです。歌えなくなってしまっても、私に出来る最後の感謝を伝える場面はやはりステージが良くて。拙い歌になってしまうかもしれないけれど、これまで一度でも私の歌を聴いてくれたあなたに、信じて待ってくれていたあなたに、私の最後の歌をもらいにきてほしいです。

――そしてその先、いつかまた、歌声が戻ったときには……。

桜井: もし、ちゃんと歌える日が来たら……またどこかで歌を歌いたいと思っています。もう「待っていてほしい」とは言いません。でも、そのときはまた、私のことを見つけてくれたら嬉しいです。


ライブ・インフォメーション

ピュアストロベリー10周年記念ライブ

  • 日程: 2026年1月24日(土)
  • 会場: 秋葉原ZEST
  • 時間: OPEN 17:00 / START 17:30
  • 出演: ピュアストロベリー(桜井ゆい・中崎彩香)

【 チケット予約:今すぐこちらから】https://tiget.net/events/411903

桜井ゆい(水湊いづき)

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中崎彩香

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