【REPORT】列車は満員御礼——さよならステイチューン山手線ほぼ一周ツアー「君回り♡ STAYTUNEDTRAIN♡」〜旅のお相手はおさよちゃん〜

東京キネマ倶楽部。鶯谷に佇む、この異空間のような会場に、愛宮歌梨・桃ノ井理子・城谷美温・根岸かのん・萌波あかり・日永陽咲の6人が降り立った。ツアー名に「山手線ほぼ一周」を冠した旅の重要な一駅として、この場所が選ばれた。
「君回り♡ STAYTUNEDTRAIN♡」——何度でも回り続けるという宣言にも聞こえるこのタイトルのもと、Xではあらかじめ「何かが起こる」と予告されており、会場に足を踏み入れた時点からすでにファンの期待値は高まっていた。

出発:6人の名前を呼ぶSE
明かりが落ちる。SEが流れる中、6人のメンバーの名前がひとつひとつ呼ばれ、ライブの始まりを告げる。名前が呼ばれるたびに会場の熱が一段上がり、「TUNED!」が始まった瞬間、6色のライトがステージを一斉に照らした。グループの名刺代わりとも言えるこの曲が流れた瞬間、ああ、さよステが始まったと体が分かる。これから楽しい時間が始まる、その予感がステージから客席へと広がっていった。
続く「トレンド・デレラ」では、テンポに合わせた複数カラーのライトが点滅し、「TUNED!」との温度差が心地よいギャップを生む。客席からはMIXの声が上がり、「世界一可愛いよりっこー!」のコールが東京キネマ倶楽部の高い天井に響き渡る。
最初のMCでは「初めてきてくれた人ー!」という呼びかけに、大きな「はーい」が返ってきた——ちゃんと聞けば初めてじゃない人がかなり混ざっている。それも含めて笑いになるのがさよステ現場の魅力で、一人ひとりのメンバーがお馴染みの挨拶をいつも以上に大きな声で届けると、お客さんの歓声もそれに応えてさらに大きくなった。そしてMCの中で「Xでの告知通り、何かが起こる」という空気がうっすらと漂い始める。

ビブラートの余韻とシンデレラのドレス
「旬をススメ」はタイトルが告げられた瞬間から大歓声。2022年のBSテレ東『ワカコ酒』OP主題歌として生まれたこの曲は、4年を経た今もさよステを象徴する一曲であり続けている。そして曲の終わりに、萌波あかりの声が響く。歌詞の最後の母音をビブラートで宙に溶かすように伸ばし続ける、あの歌声。加入2年目を迎えた彼女ならではの味わいだ。
「らぶだんじょん」を経て、「夜更かしシンデレラ」。人気曲のイントロが流れた瞬間にファンのスイッチが入り、メンバーと客席が一緒にそのメロディーを口ずさむ。暗がりの中にカラフルな光があふれ、キラキラとした女の子らしい世界が広がる。間奏でメンバーがターンするたびにスカートがふわりと広がり、ドレスのような裾さばきがステージを華やかに彩る。

2階席でお茶会、パレードのような演出
「誰もがふりむくキラキラした女の子」では、2人のメンバーが2階席へ上がり、そこでお茶会のような演出が繰り広げられた。キラキラした女の子たちのお茶会——2階席のお客さんにも乾杯してくれて、その光景はまるでファンタジー世界のパレードを観ているようだった。東京キネマ倶楽部の立体的な空間を最大限に活かした、ここならではの演出だ。
続く「ドラマチックバケーション」ではメンバーから「クラップお願いします!」の声が上がる。このクラップ、なんとなく合わせるのではなく力強く、一体になっている。さよステはファンと一緒にライブを作っている。

MC 幕が上がる
「梅雨明けたっぽいんだよね?」とMCでは場内を沸かせながら、夏を早めてしまうほどのさよステの晴れ女ぶりをしっかり見せつける。ツアーの思い出やマスコットキャラクターの話で盛り上がったところで、今日のライブ内でいよいよキャラクターの名前が発表されることが告げられた。 「応募してくれた人の名前が選ばれてるかも!」という言葉が客席の期待感をさらに高めていく。
「こちらの動画をご覧ください!どうぞーー!!」——東京キネマ倶楽部ならではの演出が炸裂した。この会場、モニターは通常、幕で隠れている。その幕がゆっくりと上がると、重大会見が始まるムードとともに映像が流れ出す。
スーツ姿の5人が登場する。愛宮歌梨はスーツの用意がなかったらしく、お父さんの大きなスーツで現れ、その時点ですでに笑いが起きる。そして一人足りない。「遅刻か!」というやりとりが展開されたところへ、サングラスをかけてウクレレを抱えた根岸かのんがバケーション全開の雰囲気でのっそりと登場。愛宮も便乗してサングラスをかけ、ふたりでラップを披露し始める。残りのメンバーを完全に置き去りにした、バラエティ色全開の展開だ。
ひとしきり盛り上がったところで6人が揃い、ついに重大発表。ツアーのマスコットキャラクターの名前が「ヤシタロー!」に決定し、名前を応募してくれた人へのプレゼント告知も届けられた。
幕が上がって初めて映像が流れるというこの構造自体が、今回の徐々に謎が明かされていくライブの演出として完璧に機能していた。

夏のアイドル宣言
映像の終わり、愛宮が語りかける。「みんな私たちのこと芸人だと思ってる?」「ユーチューバーだと思ってる?」——映像内MCで次に来る曲への予感を高めておいてから、モニターが消えて真っ暗になる。そして明かりがついた瞬間、ステージに立っていた6人は——新衣装を身に纏っていた。
「わたしって、ほんとはアイドルなんだ!」——白と水色を基調とした、アリスを思わせる爽やかで可愛らしいデザイン。熱い夏を涼しげなカラーで届けてくれそうな衣装が、この曲の「アイドル宣言」という文脈と完璧に重なる。
「ラブ☆サマー〜夏の魔法〜」では、城谷美温のアレンジによる「だーいすき!」にファンから「オレモー!!」の声が返り、会場中がひとつになる。後半ではサインボールが客席へ飛んでいった。「アチチなベイベー♡」はさよステに長年楽曲提供を続けてくれているONIGAWARAによる一曲。だからこそ馴染みやすいのに、たしかに新しい。萌波あかりが歌う「来年も再来年も 君が僕の夏だ!」の一節が、今日もやけにこころに響く。これまで一緒に過ごしてきたさよステとの夏が、今年もまたはじまる——そう思うだけで、胸がいっぱいになるようだった。
事件発生!!
新衣装を身に纏い、ステージに並んだ6人に会場から「可愛い!」の大歓声が沸き起こる。愛宮歌梨から「今回の新衣装のデザインを、ミームトーキョーさんのMEWちゃんがしてくれました! 製作はMIYANISHIYAMAさんです!」と明かされると客席から大きな拍手が。メンバーも口々に「クリームソーダ衣装なんだよね!」「可愛い!」と大はしゃぎだ。
ひとしきり衣装の話題で盛り上がった後、萌波あかりが「ちょっと待ってください」と口を開く。「今日ってなんか、大事件が起きるって言ってました。これって大事件じゃなくないですか?」他メンバーからは「(新衣装も)割と大事件だけどね!」と声が飛ぶが、納得のいかない様子。そこでメンバーたちの「身の回りの大事件」を尋ねてみることに——「私、前髪切りすぎちゃった」「お弁当食べすぎちゃった」と微笑ましい事件が次々と明かされ、客席が笑いに包まれていると。
突如、会場に激しい警報音が——「ウーーー!!!」——鳴り響き、視界が真っ赤なパトカーライトに包まれる。「キャーー!!何!?何!?」とステージ上がパニックになる中、メンバーが声を放った。
「大事件発生!新曲です。」『トキメキ事件簿♡』」
暗がりの中に青・赤・緑が点滅し、一色のバックライトが犯人にスポットライトを当てるように舞台を照らす。「新曲:トキメキ事件簿♡」——不意打ちのサプライズに会場のボルテージが最高潮に達する中、初披露の幕が開いた。
イントロからリズミカルな効果音が鳴り響き、これから始まるのは恋愛事件簿——そんな予感をたっぷり漂わせながら曲は走り出す。メンバーひとりひとりにセリフめいた歌詞が割り当てられ、表情や動きまでそのキャラクターになりきる。歌詞だけでなくパフォーマンスそのものが劇のようになっていて、まるで小さな舞台を観ている感覚になる。
恋の難事件に挑む女の子たちが、それぞれの個性を持って動き出す瞬間——ステージがぐっとドラマチックになる。そしてサビでは一転、アイドルらしいかわいさが全開に。難事件も、笑顔で駆け抜けていく。イントロの高揚感、中盤の劇感、サビのかわいさ。わずか3分弱にこれだけの世界観を詰め込んだ、グループの新定番に挑戦していくような一曲だ。

これからのさよステと、変わらないもの
続く「FM恋55.6」は、前回のワンマン『にゅーちゅーん!』〜Staying Tuned by Changing Tunes〜 で披露されたばかりの曲だ。おぐらあすか(Hifumi,inc.)作詞・作曲、振付は愛宮歌梨 with さよならステイチューンが手がけるこの曲は、BPM高めの疾走感に音の抜けがよくスカッと突き抜けるサウンドが気持ちいい。
速いだけじゃなく、どこかへ向かっていくようなワクワク感があって、気づけば前のめりになっている。曲中に差し込まれるラジオのチューニング音がまたたまらない。「恋心」を周波数に見立てた「FM恋55.6」というタイトルセンス——チューニングを合わせるように誰かの気持ちにそっと届こうとする、その世界観が音にまで宿っている。
新しい2曲がこれからのさよステの可能性を感じさせる。
そしてその流れを受け止めるように、「バカしよ?」へ。バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHIのみさこ作詞のこの往年の名曲は、定番の締め曲として確固たる地位を持つ。イントロが流れた瞬間、愛宮歌梨から今日への感謝の言葉が届けられる。サビに入るとメンバーが寄り集まり、6人で肩を組む。それに呼応するように、客席でも隣り合ったファン同士が自然と肩を組んでいる。ステージと客席が同じ動きで繋がる、その景色が素敵だと思う。
曲が終わると「ありがとうございました」の声とともに、6人がはけていく。

アンコール
新衣装と新曲、もう一度——そんなアンコールの声に応えて再び姿を見せた6人が選んだのは、「トキメキ事件簿♡」。初披露のステージをもう一度届けてくれる。
会場の熱気が冷めやらぬ中、ステージは本日最後の写真撮影へ。「みんなと一緒に写真を撮りたいと思います!」という愛宮歌梨の呼びかけにフロアが大歓声で応えると、メンバーは「とびきりの笑顔でさよステポーズをお願いします!」「ヤシタロー!も一緒に!」と、本日無事に名前が決まったツアーのお供を嬉しそうに迎え入れる。
掛け声をどうするか相談になると、愛宮が「(事前に考えてたのに)忘れちゃったから……(笑)」と笑わせ、萌波あかりから「『事件発生!』がいいんじゃない?」とグッドアイデアが飛び出す。「いいね!」と愛宮の合図で、キネマ倶楽部に「じけんはっせいー!」の声が響き渡る。
写真撮影の後、物販や今後のツアー告知を元気いっぱいに届け、いよいよ旅の終わりが近づく。「ということで、今回のツアーも、ラストの曲になります!……ツアーじゃない、ワンマンの(笑)」と愛嬌たっぷりに言い直す愛宮に、メンバー全員から総ツッコミが入り、会場は温かい笑いに包まれる。
「それではラストの曲、聴いてください。『ドドドあいどるっ!』」——最後を飾ったのは「ドドドあいどるっ!」。今日一番高いジャンプが客席で起きた。
山手線ほぼ一周ツアーの重要な一夜は、こうして大成功のうちに幕を閉じた。新衣装、新曲、そして「ヤシタロー!」の命名——この日だけで届けられた驚きの数々は、まだ先へ続く旅への期待をさらに押し上げるものだ。
恵比寿から始まったこの旅は、山手線をほぼ一周して、最後にまた恵比寿へと戻ってくる。終着駅は恵比寿リキッドルーム——だがそこに辿り着く頃、さよならステイチューンはどんなグループになっているだろうか。新衣装を纏い、新曲を手に入れ、一駅ごとに積み上げてきたものを抱えて、6人はどんなステージを見せてくれるのか。その答えは、一周し終えた先にしかない。ぜひ、一緒に見届けてほしい。

セットリスト
SE
01. TUNED!
02. トレンド・デレラ
[MC①]
03. 旬をススメ
04. らぶだんじょん
05. 夜更かしシンデレラ
06. 誰もがふりむくキラキラした女の子
07. ドラマチックバケーション
[MC② + ヤシタロー!発表映像 + 衣装チェンジ]
08. わたしって、ほんとはアイドルなんだ! ★新衣装お披露目
09. ラブ☆サマー〜夏の魔法〜
10. アチチなベイベー♡
[MC③]
11. 新曲:トキメキ事件簿♡ ★新曲
12. FM恋55.6
13. バカしよ?
━━━ ENCORE ━━━
En1. 新曲:トキメキ事件簿♡
En2. ドドドあいどるっ!