【CYNHN】hilfe”’! @ Spotify O-EAST【REPORT】

台風の余波が残る水曜の夜、渋谷道玄坂に人が集まっていた。
足元が悪い、平日だ、雨だ——それでもSpotify O-EASTのフロアは確かな熱気を帯びていた。対バンイベント「hilfe”’!」。PIGMONZ、Ringwanderung、YOLOZ、yosugala、zanka、煌めき☆アンフォレント、キングサリ……現在進行形のアイドルシーンを象徴する名前が並ぶ中、CYNHN(スウィーニー)の出番がやってきた。しかもこの日は、新曲「春を攫った」の配信リリース当日でもあった。
深い青に染まったステージに、SEが流れ出す。マイクオフの静寂が逆に緊張感を高め、そのままSEが途切れる間もなく、4人が飛び込んでくる——月雲ねる、綾瀬志希、青柳透、広瀬みのり。

「ループバック・ロールトラッシュ」。言葉が、音が、洪水のように押し寄せてくる。ものすごい言葉数だ。それでも1音も聞き逃させないとでも言わんばかりに、ボーカルは客席に向かって真っ直ぐ飛んでくる。激しく、アガる照明の中で、4人は一切の妥協なく踊り、歌い続ける。
間髪入れず「ノミニー」へ。イントロが鳴った瞬間、背後からの強烈な逆光がフロアを煽る。サビの「オッオー」——自然と腕が上がる。隣の見知らぬ人と、同じリズムで体が揺れている。そのまま「アンサンぶる」のイントロが伸びていく。ダンサブルなビートに乗せて4人の動きがどんどん激しくなり、サビに向けて照明がバキバキに叩きつけられる中、青柳透が客席を煽る。クラップが大きくなる。ユニゾンが重なる。前半3曲で、O-EASTはすでに沸点に達していた。
曲フリとともに、照明の色が変わる。先ほどまでの激しさが嘘のように、ピンクと緑が柔らかく交差する光の中で「春を攫った」が始まった。エアリーで、少し切ない歌声。桜はもう散っているはずなのに、葉桜の隙間からピンクがちらついて見えるような——そんな錯覚を起こさせる。リリース当日に、この場所で、この曲を聴けること。それだけで十分すぎる体験だった。

青柳透の「水生」の声がO-EASTに響く。その一言だけで、フロアの空気が変わった。青一色に染まるステージ、水の中を漂うような優雅で静謐な照明の中で、4人のユニゾンが重なっていく。CYNHNの代表曲が持つ重さと美しさが、広いO-EASTの空間をゆっくりと満たしていった。
最後の曲のイントロが静かに流れ始める。音が鳴った瞬間、ふわっと明かりが灯る。暗闇の中に4人のシルエットがすっと浮かび上がる——「息のしかた」だ。サビのユニゾンに向かって感情が積み上がっていく。力強く、それでいて繊細な歌声が、この夜の記憶を塗り替えていく。
曲が終わり、ステージの空気が少し柔らかくなる。「ありがとうございました!」笑顔で客席を見渡しながら、綾瀬志希が口を開く。本日リリースの新曲「春を攫った」のMVが夜22時半からプレミア公開されること、そして11月16日にZepp DiverCityでバンドセットのワンマンライブが開催されるこ「楽しみにしててね!」とENDBGMが流れる中、4人が深くお辞儀をして、ステージを去っていった。
約25分、6曲。台風の余波が残る夜。新曲「春を攫った」という新しい季節の入口を示しながら、11月のZepp DiverCityへと続く道を、この場所から走り始めた。「楽しみにしててね」——その言葉が、まだ耳に残っている。

Photo by Makoto Nakagawa
SETLIST
1.ループバック・ロールトラッシュ
2.ノミニー
3.アンサンぶる
4.春を攫った
5.水生
6.息のしかた
2026.06.03(水)「hilfe”’!」@ Spotify O-EAST